会社から年末調整の書類を受け取る時に、「扶養控除」という単語を見かけた事があると思います。
この扶養控除、たまに聞くけど具体的にどういう物なの?という人もいる様子。
ここではその扶養控除の意味と特徴をわかりやすく紹介します。難しい物ではないので気楽に読んでもらえると良いと思います。
Contents
扶養控除とは何のこと?
扶養とは、子供や両親など自分の収入で生活している人がいる事を指します。
簡単に言うと、養っている人がいるかどうか、ですね。(配偶者の場合は、扶養控除でなく配偶者控除という別の控除になります)
扶養控除とは、所得控除の一種で、
という物です。
※所得控除についてよくわからない、という人は別↓の記事をチェックしてみてくださいね。

扶養控除を受けられる条件は?
扶養控除は条件があります。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
引用:国税庁公式サイト
この条件全てに当てはまっていないといけません。
3のところに103万円というのがありますね。これがいわゆる103万円の壁になります。
具体的にどのくらい税金が安くなるの?
扶養控除で控除される金額は、扶養親族の年齢によって変わります。
・扶養控除額表
区分 | 控除額 | |
---|---|---|
一般の控除対象扶養親族 (12月31日現在で16歳以上) | 38万円 | |
特定扶養親族 (12月31日現在で19歳以上23歳未満) | 63万円 | |
老人扶養親族 (12月31日現在70歳以上) | 同居老親等以外の者 | 48万円 |
同居老親等等 (納税者・又は配偶者の直系の父母・祖父母で同居中) | 58万円 |
上の金額分が税金を計算する金額(所得)から差し引かれて、納税額が計算されます。
例)年間給与所得500万円、大学生(20歳)と高校生(17歳)の扶養家族がいる場合。(説明のためにわかりやすく配偶者控除などは無視しています)
1:課税される所得金額の計算
子供二人の扶養控除額はそれぞれ63万円、38万円になりますので、
500万円ー63万円ー38万円=399万円(課税所得額)
2:所得税の計算
上記の計算結果から所得税を計算します。所得税の下記の表から計算できます。
課税される所得金額 (所得金額-所得控除) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4.000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁公式サイト
課税される所得額399万円は、税率20%になるので
3,990,000円✕20%ー427,500円=370,500円 となります。
もし扶養控除が無かった場合、
5,000,000円✕20%ー427,500円=572,500円 となります。
扶養控除がある場合とない場合で20万円程税額が違いますね!
もし扶養控除が受けれなくなったら、これだけ納税額に差が出る、ということを意識しておきましょう。
中学生までは扶養控除を受けれないので注意
扶養控除額表を見てもらえばわかるのですが、16歳未満はこの扶養控除を受けることはできません。
15歳未満は「児童手当」が扶養控除の代わり、という感覚ですね。
この児童手当、申請をしないと貰うことができないので、お子さんが生まれたら申請を忘れないようにしましょう。

昔は扶養控除あったんですけどね。民主党政権の時に、子ども手当の制定と同時に扶養控除が廃止されてしまったんですよね。
扶養控除の103万円の壁とは
よく子供のアルバイトの金額が103万まで、という話を聞くと思いますが、この103万円は扶養控除に入るか入らないかの壁になります。
アルバイトをしている子供が103万円を超えると、扶養控除の対象から外れてしまいます。
この場合、本人はちょこっと税金を払うだけでほぼ影響は無いんですが、扶養している人の税金が高くなってしまうんですね。
けっこう税額が上がってしまうので要注意。アルバイトでしっかり稼いでるお子さんがいる家庭は、103万円を超えないように調整してもらうようにしましょう。
103万の他に130万円にも壁がある
103万円の壁は有名ですが、実は130万円にも壁があります。
1年間の所得が130万円を超えると、勤務先で社会保険に加入しなければならなくなります。
社会保険に加入すると、保険料を本人が支払わなければいけませんので、その分出費が増えることになります。
103万円オーバーしちゃったからガッツリ稼いじゃえ~、と考えて仕事に勤しむと社会保険の130万円の壁が現れるので注意しましょう。
まとめ
- 扶養親族は養っている人の事(妻は配偶者控除で別)
- 人数によって大きく税金が軽減される
- 扶養控除の壁は103万円。超えると税額が大きく増えるので要注意
- 中学生以下は扶養控除ではなく児童手当になる
- 児童手当は申請が必要なので注意しよう
以上、扶養控除についてでした!整理できましたでしょうか。
